ほとんどの方にとって税務調査の経験はないでしょう。あっても数回程度の方が大多数でしょう。税務調査を100件以上担当した筆者からすると、税務調査でやってはいけないこと、という行動があります。これをすると調査がスムーズに進まなくなる、あるいは悪い方向に進んでしまう、というものです。このような前提知識を頭に入れておくだけでも落ち着いて税務調査に臨むことができます。ぜひ、ご参考ください。
税務調査というのは意外と会話のキャッチボールが頻発します。調査官は会話をしながら、その会話を基に帳簿で確認して裏を取っていくという形が一般的です。コミュニケーション能力の高い人は調査能力も高いと言われます。一方で、若い調査官に多いのですが、会話ができず調査が下手な調査官もいます。
そのような背景もあり、やってはいけないことは、調査官との対話に関連するものが多いです。それではさっそく見ていきましょう。
NGその1 嘘をつく
調査官の質問に対して虚偽の回答をするのはNGです。これは普通に考えればわかりますよね。虚偽の回答をして、それが虚偽だと判明した場合、調査官の不信感は非常に増大するでしょう。虚偽の申告は不正につながるので、調査官も本気を出してきます。その論点だけじゃなくて、別の論点でもすべて疑われるようになります。調査の期間が長くなるし、こちらの負担も大きくなります。嘘をつくのはやめましょう。
NGその2 余計な話をする
筆者が調査官時代に割とあったのですが、社長がペラペラと聞いてもいないことをしゃべるので、その話から非違(修正事項)が見つかったことがあります。社長も「やってしまった」という顔をしていました。基本的に調査中は質問されたことに対して回答すれば事足ります。
それでも朝から夕方まで続く調査ですから雑談もしたくなりますよね。そういうときは、調査官から仕事の愚痴や不満を聞きましょう。あるいは調査官のプライベートを聞き出すのでもいいです。こちらの情報は不必要に提示しないでおくのがいいです。
NGその3 嫌がらせをする
調査官に嫌がらせをするのはNGです。これはよく勘違いされている方もいるのですが、書類の提示要求に対してわざと遅延させたり、すぐに回答できることをしなかったりするのは逆効果です。調査が長引くだけです。最悪の場合、会社の臨場調査が伸びたりしますし、さらに最悪なのが、会社では埒が明かないからといって取引先に反面調査に行かれるケースもあります。調査官の言い分としては、会社で検討事項が解明できなかったから取引先に行って解明する、ということなのでしょう。会社内部で解決できることはサクッと解明させてあげましょう。
NGその4 感情的になる
都合の悪い処理を指摘されると感情的になる社長がいます。これもNGです。まず、税務調査と言っても社会人同士のやり取りですから、一般常識的に感情的になるのは恥ずかしいです。さらに、調査官も人間ですから、相手が感情的に罵ってきたりすれば、心象は確実に悪くなります。調査をどこまで深く実施するかは調査官の上司である統括官が最終権限を持っていますが、調査官の裁量もかなり大きいです。調査官の心象を悪くして、徹底的に調査をやってやるぞ、と思わせないようにしましょう。
NGその5 よく覚えていない事を適当に回答する
調査官からはたくさんの質問をされます。そして、数年前のことについても詳しく聞かれたりします。社長が全部覚えているわけがありません(たまにすべて鮮明に覚えている社長もいて驚きましたが)。そういう時は素直に覚えていない、という回答で問題ありません。ここで適当に回答してしまうと、その回答を基に調査が進んでしまうので、意図せず悪い方向へ調査が進んでしまう恐れがあります。わからないことはわからない、でいいのです。
まとめ
以上が税務調査でやってはいけないNG行動5選でした。税務調査が来ても怖がる必要はありません。ありのままを見てもらって、調査をスムーズに進めてもらうことが、巧い税務調査の対応方法です。
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