夏から秋に来る税務調査は本気度が高いっていうのは本当?

税務調査の基礎知識

企業経営をしていれば、いつか税務調査はやってきます。税務調査が来た場合、税務署がどのような姿勢でどのようなことを考えて来ているかを知ることは重要です。以下では、調査の時期による税務署の本気度の違いを解説していきます。

夏から秋の税務調査は税務署が気合十分

夏から秋にかけて来る税務調査は本気度が高いです。具体的には7月下旬から11月中旬ぐらいまでに着手する税務調査は、税務署の本気度が違います。

時期によって税務署の本気度が違う背景としては、税務署の人事異動と評価の対象が関係しています。

端的に言えば、「異動直後の税務調査で結果を出したい」「多額の追徴や不正を取って、人事の評価を上げたい」という思惑が働くのです。

税務署の人事異動は毎年7月10日前後です。調査官は各部門に配属されると、7月下旬くらいから調査に着手します。異動直後の一件目の調査は、普通に考えれば大きな数字を上げて、周囲の評価を上げたいでしょう。当然調査官はそのような気持ちで臨みますし、上司である統括官も、部下の評価を少しでも良くしようと、追徴や不正が出そうな調査先を選定します。

また、税務署の人事評価の対象は、12月の実績が対象になります。裏を返せば、年明け以降にいくら良い数字を上げても、評価の対象にならないのです。評価のために仕事をしている調査官ばかりではありませんが、評価のことをよく知る統括官が選定するわけですから、数字の出そうな調査先を年内に選定するのは当然のことでしょう。

本気度が違うと具体的には何が違うのか?

調査官の本気度が高いと、税務調査にはどのような影響をもたらすのでしょうか?

結論から言うと、補完調査を綿密にしてくる可能性が高いです。補完調査というのは、会社に訪問し帳簿などを確認する実地調査において、解明できなかった税務上の論点を、実地調査以外の手法で行う事です。これは取引先に取引の照会をする反面調査であったり、銀行の取引履歴を照会する銀行調査などが該当します。

これらはとても手間がかかるので、時間的なリソースがない場合、省略されてしまうケースもあります。しかし、時期的に時間的な余裕があれば、取引解明のためにいろんな角度からアプローチしてきます。調査官の上司である統括官から、「もっと詳しく調査しろ」と言われて補完調査を実施することも多いです。

年明けの調査でも油断は禁物

ここで勘違いしてはならないのは、年明け以降の調査でも調査官が本気になることはある、ということです。

前述した通り、全ての調査官が評価のために仕事をしているわけではありません。基本的には適正公平な課税の実現のために仕事をしているわけですから、目の前に不適切な税務処理や不正があれば、そこは本気になって調査をしてきます。ですから、年明けの調査だから安心、ということは全くありません。

税務調査の最盛期はいつ?

前述の通り、7月~11月は調査が最も活発になる時期です。12月は基本的に内部で事務処理をすることが多いです。また、年明けの1月~4月頃までも調査がとても多い時期です。評価には影響しませんが、税務署には調査の計画件数があり、7月が事務年度の締めなので、計画通りに調査を実施する為にこの時期に多く実施します。

ただし、税務調査の時期がどのような意味を持つのかを知ること自体に害はありません。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」です。相手を知ることで視野が広がり、心持ちには余裕ができます。税務調査の中での調査官との雑談の話題として使っても良いでしょう。

本気度が高くても怖がる必要はない

調査官の本気度が高くても、結局は調査能力次第というのが私の感想です。時間的な余裕があり、実態が不明な取引について綿密に反面調査や銀行調査などを実施する可能性はありますが、そこまでたどり着けない調査官もいます。

さらに、税務調査対応に長けた税理士が対応すれば、心配はほとんどする必要はないでしょう。グローブ税理士事務所では税務調査担当者として100件以上の経験がある国税出身税理士が在籍しています。税務調査に強い国税出身税理士をお探しの方はぜひグローブ税理士事務所にお問い合わせください。

参考:税務調査に強い税理士ってどんな税理士なの?

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